コンピュータを利用する際に、コンピュータの基本的な知識があれば様々な問題にも柔軟に対応できるでしょう。 今回はコンピュータが実際にどういった仕組みで動いているのかを学んでいきましょう。
人が命令を与えることでコンピュータは様々な仕事をこなしてくれます。この時、コンピュータが仕事を行う事を「処理」と呼びます。
コンピュータがある仕事を処理するためには、人から仕事を受け取るための「入力装置」、実際に仕事を処理するための「処理装置」、 そして処理し終わった仕事の結果を提示する「出力装置」の3つの機能が必要不可欠です。
これらの装置は人間にも例えることができます。人間は、目や耳などの「入力装置」から得た情報を、脳という「処理装置」に送り、処理した(考えた)結果を手足や口などの「出力装置」で表現します。 このとき、脳では計算したり記憶したり、手足を動かすように命令したりしています。 同じように、コンピュータの脳に当たる「処理装置」にも、計算を行う「演算装置」、計算手順や結果などを記憶する「記憶装置」、各装置に命令を送る「制御装置」が備わっています。

このような構造を持つコンピュータをプログラム内蔵式(ノイマン型)コンピュータといいます。 ノイマン型コンピュータは、1940年代にジョン・エッカート、ジョン・モークリー、ジョン・フォン・ノイマンらによって構想されました。 現代のコンピュータは、ほとんどこのノイマン型と呼ばれる構造に基づき作られているといっても過言ではありません。
ノイマン型コンピュータの特徴は、コンピュータがさまざまな仕事を処理するための「命令」と「データ」が主記憶装置に置かれていることです。 ノイマン型コンピュータ以前のコンピュータは、「命令」が既にコンピュータ内の演算・制御装置に組み込まれているために、ある目的に対しては非常に素早い処理が可能であるのに対して、 その他の目的にはほとんど使えないというものでした。しかし、ノイマン型では、「命令」と「データ」を主記憶装置に置き、常に「命令」を変えていくことで、 様々な目的に使用できるといった柔軟性をもつ事が可能になったのです。
また、ノイマン型のような機能上の分類以外にも、コンピュータを「ハードウェア」と「ソフトウェア」という分類に分けることができます。 「ハードウェア」とは、ノイマン型でいう処理装置や入力装置などにあたるもので、実際にコンピュータを構成する物理的な機械の事を表します。 一方、「ソフトウェア」とはコンピュータ上で動く無形の機能のことです。例えば、演算装置自体はハードウェアですが、演算の行為そのものや方法はソフトウェアに分類されます。
インターネットを利用するにあたり、インターネットの簡単な仕組みについて説明します。これらは講義中だけでなく、今後学内でインターネットを利用して情報収集や電子メールの送受信を行う際に必要な知識となります。
複数のコンピュータがある場合に、コンピュータ同士を相互につなぎ合わせてデータのやりとりができるようにしたものが"ネットワーク"です。研究室や家庭など、限られたエリアのコンピュータでネットワークを構築したものを"LAN (Local Area Network)"と呼びます。
首都大学東京のキャンパス内でも、各研究室、あるいは各建物内にLANが構築されています。これらを南大沢キャンパス内のすべてのLANをまとめたネットワーク(学内LAN)には、"TMUNER"という名称がつけられています。
このような、範囲が限られているネットワーク(LAN)同士をつなぎ合わせ、広域にしたネットワークがインターネットです。インターネットの領域は世界に広がっているため、日本に限らない範囲で情報交換が行えます。情報交換の具体的な手段としては、WWW(World Wide Web)や電子メールなどがあげられます。
このように、インターネットに代表されるコンピュータネットワークは階層化されています。最小の単位としてはネットワークに接続された1台のパソコン(PC)、その次は教室のネットワーク、そして南大沢キャンパス内のネットワーク(TMUNER)、といったように徐々に範囲が広がっていきます。さらに、大学の外はプロバイダによってインターネットに接続されているのです。

インターネットのはじまりといえるコンピュータのネットワークは、1960年代後半のアメリカで始まりました。当初は軍事目的で考えだされたのですが、研究用のネットワークが軍事用のネットワークから独立し、徐々に世界各国の大学のコンピュータが結ばれていきました。そして1991年、素粒子物理学研究所(CERN)の研究員ティム・バーナーズ=リーによって"World Wide Web プロジェクト"が発表されました。このプロジェクトによってネットワークの規約が統一されるようになり、メーカーやオペレーティングシステム(OS)、ソフトウェアが異なっていてもインターネットに接続できるようになりました。そして大型コンピュータから家庭用のパソコンまで多くのコンピュータがインターネットに接続され、現在のように無数のコンピュータが結ばれたインターネットが形成されました。
インターネットには国境がなく、世界中のどこにいても同じ情報を手に入れることができます。しかし、インターネットを利用するためには通信回線などのインフラが整備されていなければなりません。世界的にみても、インターネットへの常時接続環境が整っているのは先進国の都市部が中心で、地方や離島では普及が遅れています。このため、情報を手に入れやすい人と手に入れにくい人との間の格差、"デジタル・デバイド(情報格差)"などの新たな問題も生じています。
インターネットにはさまざまなメーカーのコンピュータが接続されていて、オペレーティングシステム(OS)も、使われているソフトもばらばらです。この環境の違いを気にせずインターネットを使うことができるのは、"共通の情報通信規約"が決められているからです。この規約のことを"プロトコル(Protocol)"と呼びます。プロトコルにはさまざまな種類がありますが、インターネットで主に利用されているプロトコルは"TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)"と総称されています。
TCP/IPのうち代表的なプロトコルについて、機能を紹介します。
文章の中に画像や映像などを埋め込み、それぞれを互いに結びつけた仕組みです。
WWWにおける情報はInternet Explorerなどの"Webブラウザ"を使うことで誰でも自由に閲覧することができます。この情報は"HTML(HyperText Markup Language)"という簡単な言語をつかって記述されているため、誰でも手軽に情報を発信することもできます。また、文章中に設定されている"ハイパーリンク"によって、他の情報へ簡単に移動することができることも特徴のひとつです。この機能によって情報同士が複雑に結び付けられ、まるでクモの巣のようになっていることから"Web"という名前がつけられているのです。みなさんが"インターネット"という言葉で連想するのはこのサービスのことでしょう。
特定の相手に文章を送るための仕組みです。
"メールサーバ"に個人のメールボックス(私書箱)を設置しておき、メーラー(メールを読み書きするためのソフト)をインストールしたパソコンからメールを読み書きします。メールサーバには、送信に利用するSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)サーバと、受信に利用するPOP(Post Office Protocol)またはIMAP(Internet Message Access Protocol)サーバの2種類があります。個人のパソコンからのメールを SMTPサーバが受け取ると、宛先のメールサーバに送られます。外からのメールも一度SMTPサーバが受け取り、私書箱を管轄するPOP/IMAPサーバにメールの管理を委ねます。以下がその概念図です。

ネットワークに接続されたコンピュータに保存されているデータを計算機間で転送し、やりとりすることができる仕組みです。
例えばパソコンでWebページ(HTMLファイル)を作り、それを自分のWebページ用のサーバに転送する(アップロード)ことによって、Webページをインターネット上に公開することができます。この利用方法ではサーバの利用権が必要なのですが、不特定の利用を可能にする匿名FTP(Anonymous FTP)というのもあります。
ネットワークに接続されたコンピュータを、離れたところから利用することができる仕組みです。
一般的なパソコンは原則として一人で一台を利用する仕組みになっていますが、UNIXサーバなどの大型コンピュータはマルチユーザ(複数利用者)の環境に対応しています。これらの大型コンピュータはパソコンよりも高度な演算をすばやく行うことができるため、研究などの用途で複数が一台を利用するという状況がでてくるわけです。首都大学東京の学内にもこの大型コンピュータがあり、ネットワークを通して研究のために利用されています。
インターネットには無数のコンピュータが接続されています。そのため、コンピュータを指定するために住所が使われています。
インターネット上の住所にあたるものは"IPアドレス"(Internet Protocol Address)と呼ばれます。これは0〜255の数字を4つ組み合わせたもので、それぞれは" . "(ピリオド)で区切られています。
133.86.26.1
"133.86."という番号は首都大学東京南大沢キャンパス(東京都立大学)をさします。その次の2組の数字は首都大学東京の場合、教室や建物のネットワーク、ネットワーク内のコンピュータの番号というつけ方になっています。 "26"であれば1号館3階の320教室、そして"1"というのは320教室の1番目の端末です。 このIPアドレス(IPv4)は、256の4乗分、つまり約43億個のアドレスを設定することができるためインターネット上で重複することがありません。そのため、世界のどこからでもこの133.86.26.1というIPアドレスは常に"首都大南大沢1号館320教室の1番機"のことをさしています。
しかし、このIPアドレス(IPv4)は、約43億個のIPアドレスを設定できますが、近年のインターネット人口の増加によってIPv4では足りなくなってきました。 そこで最近では、今までのIPv4(Internet Protocol version 4)に代わる新たな規格としてIPv6(Internet Protocol version 6)が提案されています。このIPv6というIPアドレスは、以下のように0〜65535までの数字を16進数で表した上で、8つ組み合わせ、" : "(コロン)で区切られて表記されます。
123:4567:89ab:cdef:123:4567:89ab:cdef
このIPv6では、340澗(かん)個(約43億の4乗個)と無限に近い数のアドレスを設定することができるため、これからのインターネットの広がりに対しても十分に対応することが可能です。そのため、Windows Vistaでは、これまでのWindowsとは違いIPv6に標準対応しています。
IPアドレスは番号なので、そのアドレスがどこのどういうコンピュータを示しているのか分かりません。そこで、通常はコンピュータにつけた名前を使った表記を使います。こちらの住所表記を、"ドメインネーム"と呼びます。
www.tmu.ac.jp
ドメインネームは階層に分けることができます。末尾から順に見ていくと、日本(jp)の学術団体(ac)である首都大学東京(tmu)にあるWebサーバ(www)という意味になっています。Webブラウザで首都大学東京のホームページを見るときには、アドレスバーに"http://www.tmu.ac.jp/"と入力します。今まで説明してきたことを踏まえて考えると、これは「日本(jp)の学術団体(ac)である首都大学東京(tmu)にあるWebサーバ(www)にいって、WWWのプロトコル(http)で情報を見る」という意味になっているわけです。この階層わけの見方がわかると、ドメインネームを見るだけでどこの国のどのような組織にあるコンピュータの情報なのかすぐわかるようになります。
首都大学東京にあるすべてのコンピュータには名前がつけられ、すべて固有のIPアドレス・ドメインネームがつけられています。公開されているサーバ(コンピュータ)に関しては、これらのIPアドレスやドメインネームを指定することで決められたプロトコルで情報をやり取りすることができます。
では、実際にTCP/IPやコンピュータネットワークについてネットワークツールを使って調べてみましょう。
情報処理教室では、コンピュータの不正な使用を防止するために、機能に一定の制限を設けてあります。 したがって、以下で扱うツールの一部に関しては、情報処理教室では使えないものもあります。
これについては、本節末にリンクを設けましたので、外部のWeb上のサービスなどを参考にしてください。



ここで表示されているのはwww.tmu.ac.jp、つまり首都大学東京のWebサイトのIPアドレスです。複数のIPアドレスがあるのは、本学ホームページへの集中したアクセスがあった際の対応として、各サーバに負荷を分散しているからです。

次はトレースルートを行ってみましょう。インターネット上の特定のコンピュータと自分のコンピュータをつなげるのには、数々の中継基地であるルータを通して行われます。 この時にどんなルータを通って目的のコンピュータまで接続したのかを調べるのがトレースルートです。

また、IPアドレスなどはWebサイトから調べることも可能です。
前回に引き続きタイピング練習をします。指示に従い(あるいは自分が気に入った)エディタを起動させてください。そのエディタを使って以下の問題1〜4のうち、前回までに終わらなかったものを日本語入力してください。これらの問題はそれぞれ約350字ですが、10分で入力すること(担当教員によって異なります)。